正反対の夢

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in Sri Lanka

知らない人と結婚していてセックスする夢を見た。

決して幸せな内容ではなかったけれど、なんだかいたたまれない気持ちに。

彼の枕元に近づくと、「今***(私のこと)の夢見てた」。

二人で街をデートした帰り、寒いから私は電車で、彼はバイクで帰って、

最寄りの駅でまた待ち合わせようねと約束したところで目が覚めたそう。

なんでもない、でも愛おしいやり取り。

自分の夢と正反対で涙が出た。

「レナードの朝」ペニー・マーシャル(1990、米)

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2016年22本目

何と言ってもセイヤー医師役のロビン・ウィリアムズのとろけるような優しい笑顔が印象的。

人付き合いが苦手で、臆病で、でも誠実で。すぐそこに存在するかのようなリアリティだった。

ロバート・デニーロはもう怪演と言っていいほど。

2人のような味わい深い存在感が放てる役者が日本にいるだろうか。

「日常の当たり前がどんなに幸せか」に焦点が当たっていたけれど、私は患者が元に戻ってしまう絶望感の方が大きくて、エレノアと心を通わせていくシーンに気持ちが追いつかなかった。

時々流れるピアノ曲「Dexter's Tune」は優しくて美しくて少し哀しいメロディ。

↓は少しクセがあるけれど、楽譜が載っているので保存


Dexter's Tune - Transcription 「レナードの朝」

 

 

性の価値観

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in Viet Nam

 ジュネーヴで働く友人が帰省してきた。

今回特に話したのは、性に対する価値観の違い。

貞操を重んじる日本とは違い、「生涯一人の人となんて満足できない」と正当化して奔放な性生活を送る人も多いのだとか。

考え始めると分からなくなる。

生涯一人の人と満足できない性なのだから、複数の人と関係を持つのか。

複数の人と関係を持ちたいから、そうやって正当化するのか。

果たして、生涯一人の人とでは、本当に満足できないのだろうか。

かく言う友人も、恋人は一途な人がいいと言う。

20代の頃は目移りが激しかった私も、今は気が失せてしまった。

それは新婚だからなのだろうか。いつかまた余所見する日が来るのだろうか。

生涯一人の人を愛し続けられる方程式があればいいのに。

でも結局は自分次第なのだろうか。なんて堂々巡り。

「めまい」アルフレッド・ヒッチコック(1958年、米)

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2016年21本目

宇多丸の「ゴーンガール」評を聞いて、是非観てみたいと思っていた「めまい」。

「幻想しか愛せない男と幻想の中でしか愛されない女」と表現するならば、

「めまい」は別の女性であって欲しかった。

別の女性に理想の女性の幻想を重ね合わせて同化させていく物語なんて、すごく悪趣味で面白いと思うのだけれど。

キム・ノヴァクは好みの美しさではないけれど、気品あるマデリンとはすっぱなジュディの演じ分けは、別人かと勘違いするぐらいお見事。

写真の白のビッグコートは、Celine?ENFOLD?と思うぐらい古びれない。

交わらない日々

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in Sri Lanka

民放のバカみたいなバラエティ番組が嫌だ

せっかくの料理を丁寧に味わわないのが嫌だ

携帯ばっかり触っているのが嫌だ

・・・

久しぶりに二人きりでゆっくり過ごせるはずが、

一人きりの時と大して違わなかったことに腹が立っている。

苛立つ時は、普段やり過ごしていることがここぞとばかりに浮かび上がってくるのだからいけない。

交わらないのが面白いと思ったんじゃないか。

交わらないから、違う世界を見せてもらえているんじゃないか。

疲れているのは重々承知。眠る彼をよそに、一人で気ままに過ごしてもいいのかもしれない。

そうやって繰り返して、いつか平気になってしまうことが怖い。

「となりのイスラム」内藤正典(ミシマ社)

 

となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代

となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代

 

2016年22冊目 

「問題は英国ではない、EUなのだ」エマニュエル・トッド文藝春秋

「服従」ミシェル・ウエルベック(河出書房)

と読み続けて、この本で私のイスラム読書はひとまず区切り。

特に「服従」は、イスラムに対する予備知識がないと理解できなかっただろう。

前半2冊は西洋からの目線だけれど、この本でイスラム側に極力寄った視点が補えた。

イスラム圏は既成概念がひっくり返されそうで行ってみたいけれど、

今月もベルリンのクリスマスマーケットでテロがあったり、

トルコ駐在のロシア大使が殺されたり、いつ何が起きてもおかしくない。

まだまだ遠い地だ、と思いつつ、遠いと線を引いてはいけないとも思う。

アイデンティティの問題とは、個人が確立していくプロセスで、自分は何者として生きているのか、という問いと向き合うことです。しかし、トルコ人の若者たちの多くは、「個」というものが何なのかを知りませんでした。彼らの母国で支配的であった人間観は、個人主義を嫌っていましたし、多くの人が、それこそ家族の崩壊をまねくものだと思っていました。若者たちは、それがドイツの若者とはひどく違っていることに気づいていました。だから、学校や外の社会にいるときは「個人」が重視され、家に帰ると「家族」が重視されることに苛々していたことは確かです。(p.38)

 

フランスの場合、厄介なのは、この国がほかのヨーロッパ諸国にはない、独特の世俗主義をもっていたことです。ライシテと呼ばれるのですが、これはフランス共和国の背骨といってもよいほどの原理・原則で、とにかく公の領分には宗教組織はもちろん、個人であっても宗教を持ち込むことを認めない。フランス自身の歴史のなかで、カトリックの教会組織とどれだけ闘ったか。その結果、市民が個人としての自由を獲得したか。理性に基づいて判断し、ものごとを決定する合理主義を手にすることができたか。人権や民主主義を確立できたか。これらについては何も申し上げる必要はありません。ライシテの原則が公的領域の非宗教性を維持することによって、信仰をもつ個人は内心の自由を確保できるし、もたない人は宗教的な規範に縛られることなく生きる自由を得られるのです。すばらしい発明です。ヨーロッパの市民にとってはね。 (p.41)

 

六信のほうは、アッラー、天使、啓典、使徒、来世、定命です。五行のほうは、信仰の告白(さきほどの「アッラー以外に神はなし、ムハンマドは神の使徒なり」)、礼拝、喜捨、断食(斎戒)、巡礼の五つです。これらは「しなさい」の代表ですが、「してはいけない」もたくさんあります。(p.155)

美しくて聡明な人

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聡明でありたい。そして、佇まいが美しくありたい。

常日頃からそう思っていて、そう思える知人がいる。

白くて逆三角形の美しい手が、彼女の顔をレフ板のように明るく照らす。

清涼感のある声色で繰り出される毒舌。

この日も覚えておきたいキーワードが沢山だった。

・無駄と遊び

・想定外のことから生まれる化学反応

・和菓子の物足りない儚さ

感覚が研ぎ澄まされているのは、芸大出身で、美を追求してきたからこそなのだろうか。

その蓄積を羨む。でも、今からだって遅くない、と思いたい。

嫉妬するぐらい繊細で危ういあの日記が、婚約者に大失恋した時のものだったなんて。やはり感じるものだ。

不適切な言葉を選んではいけないと、緊張感を持った会話が同じ年の人と出来るのが面白い。

こういう人間関係をどんどん広げなきゃいけない。