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「となりのイスラム」内藤正典(ミシマ社)

 

となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代

となりのイスラム 世界の3人に1人がイスラム教徒になる時代

 

2016年22冊目 

「問題は英国ではない、EUなのだ」エマニュエル・トッド文藝春秋

「服従」ミシェル・ウエルベック(河出書房)

と読み続けて、この本で私のイスラム読書はひとまず区切り。

特に「服従」は、イスラムに対する予備知識がないと理解できなかっただろう。

前半2冊は西洋からの目線だけれど、この本でイスラム側に極力寄った視点が補えた。

イスラム圏は既成概念がひっくり返されそうで行ってみたいけれど、

今月もベルリンのクリスマスマーケットでテロがあったり、

トルコ駐在のロシア大使が殺されたり、いつ何が起きてもおかしくない。

まだまだ遠い地だ、と思いつつ、遠いと線を引いてはいけないとも思う。

アイデンティティの問題とは、個人が確立していくプロセスで、自分は何者として生きているのか、という問いと向き合うことです。しかし、トルコ人の若者たちの多くは、「個」というものが何なのかを知りませんでした。彼らの母国で支配的であった人間観は、個人主義を嫌っていましたし、多くの人が、それこそ家族の崩壊をまねくものだと思っていました。若者たちは、それがドイツの若者とはひどく違っていることに気づいていました。だから、学校や外の社会にいるときは「個人」が重視され、家に帰ると「家族」が重視されることに苛々していたことは確かです。(p.38)

 

フランスの場合、厄介なのは、この国がほかのヨーロッパ諸国にはない、独特の世俗主義をもっていたことです。ライシテと呼ばれるのですが、これはフランス共和国の背骨といってもよいほどの原理・原則で、とにかく公の領分には宗教組織はもちろん、個人であっても宗教を持ち込むことを認めない。フランス自身の歴史のなかで、カトリックの教会組織とどれだけ闘ったか。その結果、市民が個人としての自由を獲得したか。理性に基づいて判断し、ものごとを決定する合理主義を手にすることができたか。人権や民主主義を確立できたか。これらについては何も申し上げる必要はありません。ライシテの原則が公的領域の非宗教性を維持することによって、信仰をもつ個人は内心の自由を確保できるし、もたない人は宗教的な規範に縛られることなく生きる自由を得られるのです。すばらしい発明です。ヨーロッパの市民にとってはね。 (p.41)

 

六信のほうは、アッラー、天使、啓典、使徒、来世、定命です。五行のほうは、信仰の告白(さきほどの「アッラー以外に神はなし、ムハンマドは神の使徒なり」)、礼拝、喜捨、断食(斎戒)、巡礼の五つです。これらは「しなさい」の代表ですが、「してはいけない」もたくさんあります。(p.155)