「この世界の片隅に」片渕須直
2017年1本目
寝る間を遮られるように空襲があり、日を追うごとに貧しくなっても、あるもので工夫し、日々を楽しもう、生きようとする姿勢。
男達が戦いに飲み込まれる一方、蚊帳の外の女達は、目の前の生活を守り抜こうとひたむきに前を向く。
だからこそ、あの玉音放送が流れたときの、すずの振る舞いが胸に迫った。
信じて耐え忍んできたことがひっくり返されるあの虚無感。だったらなんで・・・と憤りが浮かんでは消えただろう。
日々の生活に多くを求めず、工夫して楽しむ。その尊さが、結婚した今だからなおさら響く。
「いざとなったら戦争に」と言う彼と、「そうなったら海外へ」と譲らない私。
「それって逃げてるみたい」と反論してきたけれど、
「子供を守るためならなんだってするよ」との私の言葉にハッとしたように見えた。
男は火がついたら周りが見えない。
いざとなった時に家族を守るのは女なんだ。