「SUPER FOLK SONG ピアノが愛した女。」
2017年2本目
「ピアノが愛した」というよりも、「ピアノに取り憑かれた」とでも言った方がふさわしいような
狂気じみた矢野顕子を見ることが出来る。
なんとか録り終えた「それだけでうれしい」を確認している時の表情は、
子供を産み出す母親のようで涙が溢れてきた。
素晴らしいものを作り出す人の生みの苦しみ、そしてその尊さがひしひしと伝わってくる。
結婚指輪を外すシーンは何気ないけれど、この人は母であり妻なんだと改めて実感させられる。
むくんじゃって外れなくて苦笑するところがとても色っぽい。
谷川俊太郎が「実生活が華々しいのに、ちゃんと生きている感じがする」というようなことを言っていて同感。
矢野顕子の歌詞や音楽性は、ともすれば滑稽に見えてしまうけれど、
説得力や母性を感じさせるのは、彼女がしっかり生活しているからなのだと思う。
どこまでも昇りつめていきそうな野生的な準備運動の片鱗は、この動画の最後でも見られる。
Akiko Yano & Michiko Shimizu - Hitotsudake